浮気 × 浮気

画面を確認すれば、そこに表示されていたのは、陸の名前。

ドクン、と心臓が大きく嫌な音を立てた。

あの日のトラウマから、なかなかすぐに通話を始めることが出来ず、私はじっと画面を見つめたまま、硬直していた。

もしまた……あんな電話だったら……？

そう思うと、どうしても一歩踏み出せないでいた。


ちゃんと聞かなくてはいけない、知らなくてはいけない…そんなことは分かってる。

だけど、知ってしまう事がすごく怖い。

だって、……知ってしまえば、全てが終わってしまうような気がして。


そんな感情に駆られているうちに、いつの間にか着信音は鳴り止んでいた。


安心したような、何だか虚しいような、そんな訳の分からない気持ちのまま、私は床にペタンと座り込んだ。

これから私は、陸とどう向き合って行けばいいのだろう…。