浮気 × 浮気
3
浮気相手
❁❀✿✾
朝7時半頃。
私は昨夜の出来事に少し気持ちが引きずられながら、重い足取りで会社へと向かっていた。
電車に乗ってる最中、雪から「今日寝坊して遅刻しちゃうかも」なんて連絡が来て、今日に限って久しぶりにひとりぼっちの通勤。
誰かと話している方が気が紛れて楽だったのになぁ…なんて思いため息を漏らした直後。
不意に背後から名前を呼ばれて立ち止まった。
聞き覚えのある声にゆっくりと振り向けば、そこには木嶋さんの姿があった。
ゲッ…と内心思いながらも、何だかすごいなとも思う。
だって木嶋さんは、いつも私が辛い時に現れてくれるから。
「おはようございます…っ!明里さん」
ゼェゼェと肩を大きく揺らしながら息をする木嶋さんの姿から、私を見つけて全速力で走ってきたのだということが伺えた。
私が木嶋さんに声を返す前に、木嶋さんは言葉を放った。
「あの、本当に昨日はすみませんでした。気にしないでください、つか忘れてください」