浮気 × 浮気
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「ちょっ…明里さん!どこまで行くんですか!」
そう声を荒らげた木嶋さんによって、握っていた手を強く引かれ、早くなっていた歩みを強制的に止められる。
「どこまで行くつもりですか!もうだいぶ外暗いですよ」
私を心配するような…少し怒っているような…そんな木嶋さんの口調にハッとして黙り込む。
確かに気づいたら辺りは既に暗くなっていて、木嶋さんの表情もよく見えないほどだった。
「手を振りほどいたこと、後悔してるんですか」
「………え?」
「傷つけてしまった、とか思ってるんですか」
木嶋さんの淡々と発せられるその言葉は、まるで冷たい。
「そんなこと……思って、ない」
そうだ、思ってない……思うはずがない……それなのにどうして……
「…………っ」
涙が止まらないの。