浮気 × 浮気
「同じだけ働いてるのに、なんなら明里よりも努力してるのに、私はいつも明里より下扱いなんです。そんなの許せます?」
この人に今なにかいったら逆上されてしまう。そう思った俺は、ただ俯いたまま黙り込んだ。
「明里って、男に媚び売るんですよ。だから課長にも好かれて色んな仕事任せてもらえてるんです。もう身体でも売ってんじゃな」
黙っていた方がいい…無視しているのが1番いい…そう思っていたはずが、彼女が話終える前に、彼女のすぐ後ろにある壁をついドンと大きく殴りつけてしまった。
驚いた顔をしている彼女を、つい怒りに任せて鋭く睨みつける。
「そんな訳ないだろ、明里を侮辱するな」
そういい放てば、フッと鼻であしらわれた。
「いいなあ…明里は。仕事も恋愛も順調で。」
そう自嘲気味に言い放った彼女は、その直後、ある写真を俺に突き出した。
「見て?これ。課長と明里の2人の写真」
それは至って普通に話しているだけの写真で、特に変な様子はない。
「それが何?」
「確かにこれだけなら普通。でもね、人間の噂ってすごいの」