浮気 × 浮気
あの日の事を思い出すたび、体がずしりと重たくなる。
こんな事を明里に言えば、明里はどんな気持ちになるんだろう。
そう思うと、どうしてもあの時言えなかった。
明里の仲のいい友達と、なんて言えない。
…………言えるわけが無い。
明里が傷つくのを知っていて、言えるわけがなかった。
……けど、それが逆に明里を苦しめていたのか?
使い物にならない頭をグシャグシャと掻き乱すと、俺は明里に電話を掛けた。
何コールしても、明里は出ない。
あの男と、何が。
どうしようも無い感情が俺の中で暴れる中、俺は無力にも、ただその場に立ち尽くしていることしか出来なかった。
《秋本 陸side END》
.
.
.