浮気 × 浮気


あの日の事を思い出すたび、体がずしりと重たくなる。

こんな事を明里に言えば、明里はどんな気持ちになるんだろう。

そう思うと、どうしてもあの時言えなかった。


明里の仲のいい友達と、なんて言えない。

…………言えるわけが無い。


明里が傷つくのを知っていて、言えるわけがなかった。


……けど、それが逆に明里を苦しめていたのか?


使い物にならない頭をグシャグシャと掻き乱すと、俺は明里に電話を掛けた。


何コールしても、明里は出ない。


あの男と、何が。

どうしようも無い感情が俺の中で暴れる中、俺は無力にも、ただその場に立ち尽くしていることしか出来なかった。


《秋本 陸side END》

.
.
.


< 77 / 236 >

この作品をシェア

pagetop