浮気 × 浮気
木嶋 暁side
《木嶋 暁side》
ーーーありえない。
ドキドキと心臓が大きく音を立てる中、そんな言葉が何度も何度も俺の頭の中でこだまする。
俺はただの遊び人で、……ただの邪魔者に過ぎない。
そう、俺は明里さんにとってただの……
「呼び出されたの?」
暗い感情に推し潰れそうになっていた時、やにわに背後から声をかけられる。
それはよく知っている声で、俺の幼なじみの声。
そして、………好きだった人の声。
「…………雪、」
「めちゃくちゃ落ち込んでるねぇ。そんなに怒られたの?」
そう言って俺に近寄ってくる雪は、何だか楽しそうだった。
「別に落ち込んでねぇよ」
「お〜冷たいねえ?明里には優しいくせに」
そう言って俺を見る雪の目は笑っていない。
「どうせあのミス被らせたの雪だろ」
「え〜?なんでわかったの?すごいね」
そう言ってなんの悪びれもなく微笑んだ後、「どうせ新人なんだからそんな怒られないと思ったんだもん」と言い放った。