浮気 × 浮気
そして雪は俺の言葉を待たずして、言葉を紡いだ。
「ところで、上手くいってるの?バレてないでしょうね?私たちの作戦」
「バレてねぇから。…………上手くやってる」
「…そ。ちゃんと最後まで追い詰めてよね」
睨むようにして雪は俺を見た後、角の奥に消えた。
雪がいなくなったのを確認してから、俺は大きく息を吐いた。
「……めんどくせぇ、」
俺は1人そんなことを呟きながら、ふと好きだった頃の雪を思い出していた。
俺と雪は5歳離れているものの、家がお隣さんだったという事もあって、小さい頃から仲が良かった。俺がグレた時も変わらずそばにいてくれた人だ。
だけど、この会社に入社して半年たった頃からだっただろうか。
雪がぶつくさと1人の女の悪口を言うようになった。…………それが、明里さんだ。
〝「私のが頑張っているのに評価されない。」「みんなあの女ばかり褒める。」「恋愛も仕事も全部あの女ばかり上手くいく」〟
聞いていてわかっていた、それはただの嫉妬であると。