浮気 × 浮気

放っておけばそのうち落ち着くだろう。
俺はそう思って、ただ聞き流していた。

でもそんな俺の楽観的な考えとは裏腹に、どんどん雪の嫉妬はエスカレートしていった。

日に日に目付きが変わっていく雪を俺はただ見ている事しか出来なかった。


そんな雪を見ていると、俺もその女の事が許せない気持ちになっていた。

優しかった雪を変えたその女が恨めしかった。

だから雪にあの〝作戦〟を提案された時に、俺も乗ってしまったんだ。

作戦が上手く行けば、元の雪に戻ってくれる…そう思ったからだ。

この会社に入社したのも、雪の作戦のため。


俺が提案された作戦はこうだ。

〝まず俺が明里さんの懐に入り、惚れさせる。そして、明里さんが彼氏と別れた事を確認した後、明里さんに別れを告げる。〟

いわば、明里さんを傷つける為の作戦だった。


だけど俺はひとつ聞いていなかったことがある。

それは、〝雪が明里さんの彼氏と浮気する〟という事だ。