浮気 × 浮気
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午後5時過ぎ。
既に定時の5時を回っている事に気が付き、焦ってオフィスを見渡した。
そうすればもう木嶋さんの姿はなく、私は急いで帰る支度を始めた。
何としても、週が終わってしまうまでに木嶋さんと仲直りをしたかったからだ。
雪に「今日は用事があるから先いくね」と早口気味に伝えた後、急いでオフィスルームを飛び出した。
定時をすぎてると言ってもたかが10分程度だ。そう遠くには行っていないはず。
そう考えた私は、とりあえず会社付近を走り回った。けれど木嶋さんの姿はなく、ただ私の体力が消耗していくだけだった。
「もう……帰り足早すぎでしょ」
なんてぶつくさつぶやきながら歩いていた時、ポキッという音と同時に足首を挫き、その場に倒れ込んだ。
「いったぁ」なんて言いながら足元を見れば、ヒールが折れている事が確認でき、あのポキッという不謹慎な音はヒールが折れた音だったのだと理解した。
まぁ長年使い古してきた靴だったし、あんなに急いで走ってたらそりゃ折れるわな…なんてどこか他人事のように考えてしまう。