浮気 × 浮気


嬉しいのやら情けないのやら…自分でもよく分からない感情が私に一気に押し寄せてくる。

そんな感情と一緒に溢れ出した涙に、木嶋さんは一瞬戸惑ったような表情を浮かべたが、至って冷静に私を抱え込んだまま、人気のない公園のベンチへと私を優しく下ろした。


「木嶋さん……あの、ほんと、ごめんなさい」


とにかく何か言わなきゃと思って咄嗟に出た言葉は謝罪の言葉だった。

本当は私が木嶋さんを見つけて、ご飯を奢るつもりでいたのに。

なんだか本当に申し訳なくて、木嶋さんの顔を見れずにいると、木嶋さんは私と視線が合いやすいようにしゃがみ込んだ。

そして、私の頬にゆっくりと手のひらを添わせる。


そして久しぶり見る優しい瞳の中に捉えられた。

ドキドキと心臓が大きく鳴る。外の音が聞こえないくらいに、大きく鳴っている。


木嶋さんは私の涙を優しく拭うと、呆れたように笑った。


「明里さんは、本当によく泣きますよね」


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