浮気 × 浮気
驚いたように目をパチパチさせる木嶋さんに私は「謝らないで」と微笑んだ。
「木嶋さんのせいじゃない。私がドジ踏んだだけ!それに…こうして私を助けに来てくれたじゃない」
私が辛いとき、いつもそばにいてくれる。
いつも現れてくれる。
木嶋さんには本当に助けられている。
「だから…ありがとう、木嶋さん。」
木嶋さんの目が少し涙で濡れているのがわかった。
私も涙を拭いてあげようと手を動かした矢先、不意に手首を掴まれ、頬から離される。
そして少し乾いた声で木嶋さんは言葉を紡いだ。
「……ありがとうなんて言われる事、俺は何もしてないですから」
何言ってんの、と私が言う前に木嶋さんは「でも、」と言葉を続けた。
「これからは絶対に明里さんを守ります」
真っ直ぐで真剣な瞳が私を貫く。
そんな大袈裟な…と思ったけれど、何だかすごく嬉しくて笑ってしまった。
「ありがとう」
そういえば、木嶋さんは満足そうに微笑んだ。
その後、木嶋さんは私のためにタクシーを捕まえてくれた。
タクシーの窓から、手を振って私を見送ってくれる木島さん。私も笑顔で手を振りかえす。
ーー仲直り、出来たのかな。
私はそう思いながら、木嶋さんに笑顔で手を振り返したのだった。
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