。。折れた羽根、虹の架け橋。。③
母さんが、俺の長い前髪に触れた。




ジョキンーー。













はっ?











長い前髪が、フローリングに落ちた。



うん、優等生を演じるために
長くウザったいほど伸ばした前髪を。

躊躇うこともなく、ジョキン、と切られた。



「いい瞳をしてるわ。
私はね、大雅。
今のそのままの大雅が、好きよ。
自分の子ながら、2回目の"恋"をしちゃいそう」



2回目の恋とはーー
きっと




前髪が無くなってスッキリした俺の瞳が、露になって一緒だったに違いない。




父さんと同じ瞳にーー。



「おい、明日咲っ!」




あ。絶対、絶対妬いてるな、父さん。


「数年ぶりのこの瞳が、私はずっと好きだったの。パパから譲り受けた瞳。隠して世に出さないなんて、もったいないのよ。
あなたも誰かに恋をしてるなら、頑張ってね」





母さんは俺の瞳を見ながら、うっとりしている表情を見せた。


「俺、恋とかしてないから。
つか、分からない、と言うかーー。
だけど守りたい人はいる」



あー自分が分からない。
恋してないからとか、分からないとか
矛盾してるだろう。











「だけどーー確実に惹かれてるんだ」







嘘は付けない。



恋とか、愛とか分からないけど





守りたい人であることには変わらないから。



「やっぱり、純白ちゃんは可愛いもんね」












は?








母さんの口から純白ちゃんの名前が出て
ただただ拍子抜け。





さらにさらにーーー。





「龍神が守ってきた姫ちゃんの娘だもんね。
今度は、負けないのよ」






知ってるーー。





母さんーー。




父さんがずっと好きだった人。

父さんがずっと母さんに秘密と言ってた人。




「今度は、必ず手に入れなさい。
パパが出来なかった宝物、今度は大雅が掴むの。。負けないで最後まで好きを貫きなさい」





あ。。




父さんが、母さんを抱き締めた。







< 47 / 56 >

この作品をシェア

pagetop