【完】狂犬は欲望中毒。
「疲れたら無理すんじゃないぞ、左和季。」
「してませんよ松茂さん」
「……の割には、顔色が悪いぞ」
砂を交えた雑草を踏みながら、呆れた顔で言う松茂さん。
美喜矢も松茂さんも何かと俺に絡んでくる。
普段言うこと聞かない奴の事なんか放っておけばいいものの。
何だかんだ面倒見いいんだよな、このふたり。
美喜矢に関しては心配してるのか不明だが。
「昨日好きな女の家に泊まってですね、」
「ぶっ!?」
「ちょっ!松茂さん汚い!!」
片手に持っていたお茶を口に含んでいた恋愛経験不明の松茂さんに、刺激的なこと言った俺がバカだった。
口の中のお茶を吹いて、それを見た美喜矢が顔を歪め心底嫌そうな目で松茂さんを見ている。
「ばっ、ばか野郎!
結婚前の女子の家に泊まるなど言語道断!!
お前責任とれんのかよ!」
「いや、落ち着いてください松茂さん。
俺なにもしてません」
「……へっ?」
「この手に誓ってなにもしてません。」