【完】狂犬は欲望中毒。
数日後。
住宅地から離れた広い土手で、夜行われた族同士の集会。
バイクのライトで色とりどりの特攻服が見えるおかげで、私服の蛇狼は余計に目立ってしまっている。
交流とか言っておきながら、雰囲気がピリついているのは確かだ。
目を合わせれば、どうしても合う合わないがでてくる分、相手の態度によって状況が変化する。
一瞬の油断もできない。
「松茂さん、美喜矢どこ行ったんですか?」
さっきからウロついて辺りを見渡しているが、美喜矢の姿がない。
「あー……美喜矢はちょいと総長命令でお使い。
つか左和季、今日は大人しくしてろよ?
なにがあっても面倒だけは起こすな」
「あいよー。
つか松茂さん、俺ちょっと離れるんで、総長の護衛よろしくお願いします」
「……面倒だけは」
「起こしませんって。」