【完】狂犬は欲望中毒。
だったら尚更黙っておくわけにはいかない。
これは俺にとっての見せしめでもある。
……小羽に怖い思いさせた分はきっちり返してやる。
「おい」
「は?」
声をかけてから、集会が行われている反対方向へ走る。
さすがに松茂さんに暴れているとこ見られたら怒られる。
あの人の説教は長いから面倒だ。
面倒事はこいつらだけで十分。
「左和季……っ」
「逃げんな!!」
追いかけてくるこいつらを、目の端で確認し
集会で盛り上がっている音が遠退いた場所で立ち止まる。
夜風が額を撫でる。
振り返ると、情けないことにコイツらはもう既に息をあげていた。
今から倒そうとしている相手に対して、膝に手を当て屈む姿なんか見せるもんじゃない。
俺は優しくないから待つつもりはない。