【完】狂犬は欲望中毒。
一番真ん中にいる金髪に向かって走り出す。
気を抜いていた金髪は「……っ」と反応できずに目を瞑ると、俺はそいつの後ろに回り込み相手の首の後ろから手を回す。
「ぐっ……離せっ」
「『ごめんなさい左和季様、もうこんなことはしません』って言え」
「……っ」
「そしたら許してやる」
力の差が分かっていて喧嘩を買う気はない。
それでも、小羽の件があるから
あいつにもう手出ししないように、ここで手は打っておくべきだ。
こいつらにとって、俺に謝るというこはプライドを捨てるということ。
そこまでやらさねーと、諦める様な奴らじゃないから厄介だ。
「つか、3対2だって事忘れんな!」
茶髪が声を荒らげた瞬間、2人同時に拳を構えて向かってくる。
説得している最中の金髪を茶髪に向かって投げる。
茶髪が金髪を受けとめているその隙に、振り上げられた黒髪の拳を避けると同時に足を掛け転ばせる。
「……っ、さわき」
転んだ黒髪の男は立ち上がると、まだ気力が残っているのか俺に向かって拳を突き出してくる。
それを軽く避けると、今度俺から距離を詰めて黒髪の男の胸ぐらを掴んだ。