【完】狂犬は欲望中毒。
恋をしたことは喜ばしいことなのに、この場にいないはずの左和季君の姿を思い浮かべては緊張しちゃって、全然授業に集中できなかった。
なんなら授業中、年下の左和季君が同い年設定で隣の席に座ってる妄想しちゃったし。
『小羽こんなのも解けねぇのか。教えてやるから机くっつけろ』
『あっ、うん』
『教科書俺のだけで十分だろ?ほらもっと顔も近づけろって』
『しゃ、しゃわききゅん……』
っていう、美味しい展開を妄想してたわけですが。
めちゃくちゃ罪悪感半端ないのです。
「ごっ、ごめんって左和季くん!!」
「ねぇ、あんたさっきからマジでうるさいんだけど。
いない奴の名前呼ばないでくれる?」
「あっ、はいすみません。」
学校終わりの校門の前で、通りすがる女子がやたら黄色い声を上げているかと思ったら
なぜか塀に寄り掛かって立っている美喜矢君の姿があって。
私の姿を目で捉えては、「左和季が呼んでる。」と一言だけ言って、今美喜矢さんのバイクの後ろに乗せられている謎の状況。
唐突すぎて、頭が追いつかない……。