【完】狂犬は欲望中毒。
「あっ……!」
夜になると変わってしまう空の色のせいで
遠目からは暗くてよく見えなかったけど影のようなものが動いて見えた。
近づくと、こんどは目の前のものがハッキリしてきて
左和季君が男の胸ぐらを掴んでる物騒な姿が見えた。
「ちょっ……左和季くん!!!」
美喜矢君そっちのけで、走り出す。
左和季君が喧嘩して怪我でもしたら嫌だから。
思わず左和季君の背中に飛び付くと、私を見て彼は驚いていた。
なんでこんな事になっているのかは分からない。
けど、左和季君の目の前にいる男のひとりは私を襲おうとした人で、どうしてこういう状況になったかは何となく察しがついた。
「さ、左和季君」
「こいつらのことは美喜矢が何とかするだろ……。
行くぞ、小羽」
目の前の男たちに目もくれず、私だけを見つめる左和季君がギュッと手を握ってくれた。
その瞬間、胸がギュッて締め付けられる。
ど、どうしよう。
左和季君のこと好きって自覚してしまったせいで、昨日迫られた時よりも胸がうるさい。