【完】狂犬は欲望中毒。
「さ、さわきくっ。私あの、」
「ん?」
「……その、手汗すごいから離してくれると嬉しい」
「……?別になんとも思わねーけど。
それに手汗なんかかいてねーだろ」
「で、でも」
「なに。お前そんなに俺と離れたいのか?」
「ちがっ……」
熱い顔も、今は夜だからきっとバレない。
意を決して、顔をあげて左和季君を視界に映すと。
左和季君は握っている私の手を、自分の口元に持ってきて、軽く唇で触れてきた。
「さっ、なっ、へっ!?」
「汗、かいてねーだろ。
つかお前、なに美喜矢とふたりっきりになってるわけ」
「えっ……だって美喜矢君が、」
左和季君が呼んでるって言うから。
そう言おうとしたのに。
手にピりついた感覚が走る。
痛くはないけどそれよりも、左和季君が私の手の甲を甘噛みしてることに驚いた。