【完】狂犬は欲望中毒。





立ち話も何だからと、左和季君は私をソファに座らせ、冷蔵庫から開けていない500mlのペットボトルを取り出すと、私に渡してから自分も腰を下ろす。


早速キャップを外して、ペットボトルに入っている水を飲む。


緊張して喉が渇いていたから、少しだけホッとした気がする。



「つか小羽、なんで美喜矢と一緒だったんだ?」


「えっ、左和季君が美喜矢君に頼んで学校まで迎えに来たんじゃないの?
 『左和季が呼んでる』ってだけ言われたけど……」


「……なんであいつお前の高校知ってんだよ?」


「……多分、最近は学校帰りよくコンテナにお邪魔してたから制服でバレちゃったんじゃないかな?」



「……へぇー……」




「松茂さん、美喜矢は総長の"お使い"って言ってたしな」と、左和季君の呟きがまるでため息みたいに漏れだす。




少しの間だけ走る無言に、息が詰まっていく。




ふと左和季君を見る。



相変わらずカッコいい……じゃなくて。








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