【完】狂犬は欲望中毒。
左和季君ってば意地悪だ。
私の表情を言葉に出さないでほしい。
左和季君のこと意識してるって本人にバレバレなの恥ずかしい。
「小羽、ちょっと寝る。膝枕しろ」
「……えっ、この状況で唐突すぎない!?」
左和季君が体を倒すと、長い脚はソファから飛び出ていた。
有無を言わせず私の膝に頭を乗せる彼は、深く目を瞑る。
「さ、左和季くん。寝るんだったら私帰る」
「無理。昨日の夜はお前と一緒だったせいで、全然眠れなかったからな。
寝不足のままお前を乗せてバイクなんか運転したら危ないだろ。」
「……」
「こっちは手出さねーように理性保ってんだ。
色んな意味で無事に送り返してやるから、今だけ俺の言うこと聞いてろ。
20分だけ睡眠取るから、その後……起こ」
「起こ?」
起こしてって言おうとしたの?
最後まで言葉を発せないくらい左和季君、眠かったのかな?
そりゃあそうだよね。
昨日私のワガママで部屋に泊まってもらったし。
それにお客さんなのにシーツは敷いていたとはいえ床で眠らせてしまったもんね。
そりゃあ疲れてて当然だと思う。