【完】狂犬は欲望中毒。
「小羽、言え」
「……」
「好きなんだろ、俺のこと」
「……っ」
そんな風に真っ直ぐ見つめられると、余計に恥ずかしくて言えなくなっちゃうじゃん。
「さっ、左和季くん」
「どうした」
「せ、せめて手、離して」
緊張で全身が震えてる。
それを左和季君は私が怖がっていると捉えたのか、簡単に手だけは自由にさせてくれた。
やっぱり、全然。
その言葉を口にする余裕はないけど。
好きで左和季君を焦らしてるつもりだってない。
だから。
「す……き」
「……」
「さわきくんのことが……すき」
解かれた手で熱い顔を隠しながら、左和季君に思いを告げる。
言えっていったのは左和季君のくせに。
いつまで経っても、返事がこない。
不安になって顔から手を退けると。