【完】狂犬は欲望中毒。
「やっと全部……俺のもんだ」
色気を纏った彼が口角をあげた時、あと数センチ動けばくっつく唇が、ゼロ距離になる。
キスされてる。
左和季君の形のいい柔らかな唇が、私の唇に押し付けられて離れないどころか、噛まれてるみたいに激しさが増していく。
「さ……っ、んっ」
「喋るな、こっちに集中しろ」
キスなんてしたことないのに。
初めてなはずなのに、相手が左和季君だからかな
全然嫌じゃない。
けど、駄目だ……頭がポーッとしてきた。
酸素不足を訴えるため、離れたがらない左和季君の胸板を叩く。
彼は少し不服そうだっけど、仕方なく私から唇を離す。
「……っ、も、もう!するならするって言って……」
「悪い、我慢できなかった。」
「……」
「お前が可愛すぎて、理性保つとかそれどころじゃなかったわ。」