【完】狂犬は欲望中毒。





「用件はそれだけですか?」


「今から下の奴らと走りに行くが、お前も行くか?」


「今日は"土曜日"なのでせっかくのお誘いですが遠慮しておきます」


「……呼び出したこと根に持ってんな、お前」



橋の下に停めてある凭れていたバイクにそのまま跨がって、蛇狼の集団から抜け出す様エンジンを掛け走らせる。



風で体温が変わるのも悪くない。
 
それにさっきから早く小羽に会いたくて熱くて敵わねえからな。



風向きに従うように走らせたバイクは、そのまま小羽の住むマンションへと向かう。



信号待ちも、人通りの多い土曜日の交差点も、薄暗くなった空に合わせて輝き出す街並みも。



小羽に会いたくて仕方がない俺にとっては、すべて煽りにも見えた。



しばらくしマンションの下に着くと。
バイクに跨がったまま小羽に電話をし、下に降りてくるようすぐに電話を切った。



まさかこんな時間から会いに来るとは思わなかったのか、電話越しのあいつの声少し焦ってたな。



それから数分後。
慌てて来たのが分かるくらいに、小羽の格好はギリ外に出られるくらいのダル着をしていた。




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