【完】狂犬は欲望中毒。
「じゃあな。」
口数が多ければ多いほど触れたくなって。
これ以上はダメだとすぐに小羽から離れるよう指示する自制心。
帰ろうと、背中を向けた瞬間。
小羽に服の裾を掴まれ、動きを止められる。
「……こはね?」
「……会ったばかりなのにもう帰っちゃうの?」
「……」
「今日の左和季君、いつもより何だか焦れったいよ。
いつもなら夕食食べていくのに。」
「……」
後ろから聞こえてくる、寂しそうな声にらしくなく胸が鳴る。
「お前、ほんと何も分かってないな」
「ーーえ?……って、わぷ!?」
振り返ると同時に小羽をおもいっきり抱きしめた。
潰してしまうんじゃないかってくらいに、俺の胸の中に閉じ込めて
こいつの視界には俺以外入らなければいいのに。