【完】狂犬は欲望中毒。
「お前、今この状況で俺から逃げられるか?」
「……っ」
「無理だろ。」
抵抗なんてできないほど、力の差は歴然としている。
なら、尚更。
狭い部屋でふたりっきりなんて危ないだろ。
小羽は何も分かってない。
俺がどれだけ欲望に弱いかを。
抑えているのがやっとだっていうのに
煽られたら、これ以上は我慢の限界だ。
「お前はもっと、男っていうもんを知った方がいいな」
「……」
「あっ、でも俺以外で知るのは許さない。
知るなら俺で……って、小羽?」
返事がない。
さっきまで軽く暴れていた小羽を俺から離すと、真っ赤な顔をして口をバツマークにし、閉じていた。
「おい、……大丈夫か?」
静かに荒れている息を整える小羽が自然な上目遣いで俺を見る。
「……さ、左和季君こそ、急に抱きしめるとか……私の気持ち全然分かってない?」
「……あ?」
「私左和季君とこと好きなんだよ?……なのに急にそんな強く抱き締められたら心臓もたないじゃん!」
「……っ」