【完】狂犬は欲望中毒。
阿吽の呼吸がまるで合っていない。
小羽は俺がしたいことに対して、恥ずかしがるし。
俺はこいつを大事にしたいのに、逆にこいつを寂しくさせるし。
もっと欲しいって伝えればいいのか?
でもこんな小さい身体で、とても俺の全部を受け入れられるとは思えない。
こいつはどれだけ俺が執着してるか、未だに分かってないんだろうな。
「じゃあ逐一『抱きしめる』『キスする』って言えばいいのか?」
「……っ!?キスは、い、言わなくていいけど!
その……せめて『今からします』って雰囲気作ってよ」
「なんだそれ、お前変態か」
「……その言葉、左和季君にだけは言われたくない」
項垂れる小羽の頭を撫でた。
抱きしめるだけで、この慌てようだ。
やっぱり我慢するしかなさそうだ。
まあ、小羽のために我慢するのも悪くない。
俺は項垂れている小羽の頭を軽く撫で、今日のところは大人しく帰った。