【完】狂犬は欲望中毒。
「……顔、赤いな」
「だっ、だってさ!」
「ん?」
「左和季君が気に入ってる場所に私を連れてきてくれた事が嬉しくて……!
なんかこう、生きててよかったなって思う」
「なんだよそれ、大げさだなお前」
気に入ってる景色よりも、お前の方が大事だっていうのに。
ほんと大げさすぎて、暖かい気持ちになる。
……まじでらしくねーな。
小羽の言葉だけで胸がグッとなって痛いくらいだ。
意外とピュアなんじゃねーの、俺。
いや、こいつの純粋さにあてられたか?
「まじで、大事にしねーとな。」
「……?今なにか言った?」
「いや、別に。ここでお前に甘い言葉でも吐いてやったら、少しはロマンチックなムードでんのかなと思って。」
「左和季君ロマンチックって柄じゃないでしょ」
「どうやら小羽ちゃんは、俺に泣かされたいみたいだな」
「ち、ちが……っ」
迫ると逃げていく小羽。
この距離感は割りと気に入ってる。
けど。
「このままじゃ、全然足りねぇな。」
どうやってあいつから、俺を欲しがる様にさせようか。
とびっきり悪いことを考えている俺に、小羽は気づかず無邪気に笑っていた。