【完】狂犬は欲望中毒。
「わっ……!?」
突然、腕を掴まれて、そのまま左和季君に抱きしめられた。
「さ、さわきく、……っ」
急に、耳に刺激が走る。
甘噛みされてるんだと気づいたのは、刺激が走った数秒後。
「な……っ!?なんで耳噛んで……っ??」
「お前、この前言ったこと、全然分かってないみたいだな」
「……この前?」
「俺も男だ。夜に男を部屋に上げようとすんな」
「だ、だって左和季君だし」
「その"左和季君"になら、何されてもいいって言えるか?」
「……っ」
「例え俺じゃなくても、簡単に……お前をこうして」
左和季君の手が、私の後頭部に回ると。
次の瞬間、左和季君の形のいい唇が押し付けられた。
何度も角度を変えて、迫られる。
柔らかなそれは、くっついてる感覚すらも鈍らせようとしてくる。
「んっ……」
「……っ、全然足りねぇな」
「さわ……」
「お前だけだ。俺に我慢なんかさせんの」
「……っ」
キスだけでも、こんなに力が抜けていくのに。
それ以上って……なんなんだろう。
さすがにもう高校生だから意味くらいは知ってるけど。
自分のことだから想像すらできない。
けど、左和季君の目が逸らせないくらいに渇いているから。
ちょっとだけ……全部あげたいって思っちゃった。
でもまだ怖いの。
「ごめんなさい……」
「お前が謝る必要なんかねーよ。
……まあこれに懲りたら、部屋に誘うのは明るい時だけにしろ」
「……」
「今度夜になんか誘ってみろ、お前まじで襲うぞ」
「……だから物騒だよ左和季くん」