【完】狂犬は欲望中毒。
左和季君の事だから、みんなの前で本気でやりそうだ。
不敵な笑みを浮かべる彼を見て、できるだけ大人しくしてようと心に誓った。
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それから数日後。
夕陽が溶けて消えかかっている雲の向こう側を見る。
左和季君のバイクの後ろに乗せてもらってしばらく経つと、人の溜まり場と化した河川敷で降ろしてもらった。
私は誰がどのチームに入っているのか分からないから
左和季君の服の裾を掴みながら集団に紛れ込むと。
蛇狼のメンバーが集まっている中に自然と足を踏み入れる左和季君に習って彼の背中に隠れる様にその場に立つ。
「へぇー、本当に連れてきたんだ」
ひょっこり顔を出した美喜矢君が迷惑そうに私を見る。
でも美喜矢君のことは瞑静の件があって以来、全然怖くない。
態度は相変わらず冷たいけど、この人何だかんだ面倒見いいんだと思う。
じゃなきゃ最後に瞑静の人達の後始末引き受けて、私たちをふたりっきりにさせようとしないもんね。