【完】狂犬は欲望中毒。





自信がないせいで、左和季君のことが急に見れなくなった。



あの人の方が可愛いって思われたらどうしよう、とか。


この場にいる男の人達みたいに、左和季君まで釘付けになってたらどうしようとか。


怖くて、いつもならジッと見てるはずのその目が見れない。



思わずギュッと、左和季君の制服の袖を掴む。


すると、ギュッて。絡められた指が恋人繋ぎになる。



「……っ」


送られてきた体温に応える様に俯いていた顔を上げて左和季君を見ると。


左和季君は、いつもの……大好きな目で私を真っ直ぐ見ている。



「なに不安がってんだよ」


「……だって、」


「俺はお前しか見てない……つーか、見えねぇ」


「……」


「それに、お前が一番可愛いに決まってんだろ」


「……うそ」


「嘘じゃねぇよ、好きな女が一番可愛いのは当たり前のことだろ。
 そんなに不安ならその不安、拭ってやってもいいけど?」


「……っ」





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