【完】狂犬は欲望中毒。
冷たくあしらう左和季君に、有栖川さんの口角が更に上がる。
「男の人に冷たい態度とられたの、はじめてかも」
「そうかよ。」
本当に興味がないのか、左和季君はめんどくさそうに返事をするから
見ているこっちがハラハラしちゃう。
一応、有栖川さんも雪紅……?だっけ。総長なのに、本当にああいう態度でいいんだろうか。
私は正直ホッとしちゃうけど。
蛇狼の一員としてはまずいような気がする。
ジッとふたりを見つめていると、有栖川さんと何故か目が合う。
一瞬見るだけでも綺麗なのに。
目が合った瞬間、その美しさに吸い込まれるかと思った。
「ねぇ、蛇狼は女の子も入れるの?」
「いや?男だけだ」
「じゃあなんで女の子がいるの?」
有栖川さんの問いに、左和季君は私を目の端で捉えると、「あぁ」と呟いてから視線を有栖川さんに戻した。
「俺の彼女」
「……え?」
ポカンとなぜか締まりのない顔で私と左和季君を交互に見る有栖川さん。
ちょ……ちょっと失礼に感じるのは気のせいだろうか。