【完】狂犬は欲望中毒。






「お前……ふざけんなよ」


「あら、さすが五月女君。よく気づいたわね」


「普通背中向けてる相手に石を投げるか?
 小羽に当たったら危ねぇだろうが」


「でも五月女君が私をほったらかしにするから悪くない?」


「言ってることの意味が分からねぇよ。
 俺はお前に興味ない。」


「私はある」



どんどん左和季君に距離を詰めてくる有栖川さん。



勇気なんてないけど。


それよりも、嫉妬の方が勝ってしまう。


「だ、だめ」


「……っ」



手を広げて、左和季君の前に立つ。


距離を取っていたから分からなかったけど。
目の前の有栖川さんは思わず一歩引きたくなるくらい、オーラがすごい。



有栖川さんは私を見下ろし、さっきまで上げていた口角を分かりやすく下げた。




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