【完】狂犬は欲望中毒。
それにしても、好き嫌いが激しい左和季君にそこまで言わせるなんて。
蛇狼は左和季君にとって大切な居場所なんだろうなぁ。
そう思うと、色眼鏡で危ない集団だって勝手に決めつけてたけど。
それが左和季君にとって大切なら私だって大事にしたい。
左和季君のことを思うと、胸が満たされていくこの感じが好き。
……好きに、なりすぎちゃったかな?
「小羽。そろそろ送る」
さっきまで顔を出していた月が、雲に隠れた瞬間、左和季君が私の手を引きながら言う。
いつの間にか、時間は過ぎ去っていて。
好きなように散らばっていた集団の数も知らないうちに減っていた。
そのおかげで、人にぶつからずに左和季君のバイクが停めてある場所まで窮屈さを感じることなくやってこれた。