【完】狂犬は欲望中毒。
「面倒なことになったね。まあ僕たちを狙うなんて逆に運が悪いんじゃないの」
「つか、ふたりしかいないのに族って分かった上で狙ってるなら、俺達の正体あいつらにはバレてるってことだろ?」
「僕たちのこと知った上で狙うなら、ちょっと人数足りないんじゃないの?」
ドライブ帰りの面倒事に、雰囲気が台無しだとピりつく美喜矢。
バイクのエンジン音が鳴り止むと、ザッと砂を踏む音が聞こえる。
音のした方に目を向けると、案の定鉄パイプを持った物騒な男が数名立っていた。
「おいストーカー。尾行するならもっと上手くやったらどうだ?」
バイクに凭れかかりながら言う。
影を覆っているせいでよく見えないが、どっかで見たことあるような……。
いや、俺の気のせいか。
つか、今はそんなことどうでもいい。
なんで俺達の後をつけてきたのか、さっさと吐かせねーとな。