【完】狂犬は欲望中毒。
「……」
「おい」
「……」
「黙りか、まあ別に喋りたくないならいいけど。」
「ふぅ」とため息を吐きながらバイクの鍵を抜き取ると。
「……っ」
その隙に、細い男が鉄パイプを俺に向かって振りおろす。
が、そんなものは想定内だと勢いが加わる前に片手で止めた。
「……っ」
「歯食いしばって黙り決め込んでるみたいだが、そう意地になられるとこっちも意地になって聞きたくなっちまうな。」
掴んだままの鉄パイプを男から奪うと、軽くそいつの頭に当てる。
「誰の命令だ」
「……」
「言え」
「……っ」
武器を奪われたことで、一瞬焦る男が捨て身で俺に向かって拳を振り下ろすから。
構えたパイプを横に、男の拳を受け止めると。
あまりの痛さに男が顔を歪める。
「~~っ」
「今のは痛そうだな。まあこんなもん持ってくるお前が悪い」
痛みに耐えて俯く男から目線を外すと、ゾロゾロとパーカーを被って顔を隠す男が数名俺と美喜矢を囲み始める。