【完】狂犬は欲望中毒。
ようやく光に慣れてきた目を開く。
捉える様に、バイクのライトをこちらに向かって当てているバイクが複数いることに驚いた。
ろくそくの様にフッと光が消え、夜に馴れてしまった目が複数人を従えている真ん中の奴に自然と向く。
「どういうことだ。なんでお前らがここにいる」
言うと、女は後ろを振り返り指示をすると、大勢のバイクが散らばる様にこの場から去っていく。
ひとりこの場に残った女は、バイクからおりて俺の前まで警戒することなくやってきた。
「ふふ、久しぶり五月女君会いたかったよ」
口角を上げて、わざとらしく言う雪紅の有栖川に
俺よりも美喜矢の方が怪訝そうな顔をする。
「そりゃあどうも。つか、なんでここにお前が……雪紅がいるんだ。
活動拠点じゃねーだろ」
「この町には五月女君がいるからね。
たまにはちょっとだけ遠いところに行くのも悪くないわね。
……だって本当に会えたし?」