【完】狂犬は欲望中毒。
甘える猫のように擦り寄ってくる有栖川。
体が拒むのか反射的に一歩距離をとる。
「……五月女君って本当につれないね」
「俺には小羽がいる」
「……いない子の名前呼ぶんだ」
「居ても居なくてもアイツのことばっか考えてるからな」
それにしても。
族狩りなんて面倒なことになったな。
危険から守る自信はあるが、別に危険に巻き込みたいわけじゃない。
今の状況を考えると
美喜矢の言う通り少し距離を置いた方がいいのかもしれない。
まあ、それは小羽がそれを望むなら黙ってそうする。
小羽のしたいように動けないなら、意味がない。
まあ……離れられる自信は俺もないけど。