【完】狂犬は欲望中毒。
遡ること、2時間。
「……嘘だよね?」
雨が降りそうだったから、寄り道せずに早めに帰宅したのはいいものの。
近づくにつれて大きくなっていく黒い物体は、自転車の置き忘れや動物ではなく。
人間だ。
私が住んでるマンション前で、男が傷だらけで倒れてる。
えっ、なにこの状況?
私今日不幸の日?
「ん……」
「……っ!?」
男の首がぐるんと前に倒れるからビックリした。
い……生きてる。
そりゃあそうだよね。
こんなところで死んでたら、洒落にならないもん。