【完】狂犬は欲望中毒。
「怖いか?」
「ーーッ」
「お前が怖いなら、ほとぼりが冷めるまで小羽には会いに行かないように我慢する」
「……」
「お前のためなら我慢できるぜ、俺」
軽く笑って、震える私を安心させようとしてくれる。
けど、そうじゃなくて。
「怖いとかじゃ……いや、怖いけど。
左和季君が怪我することの方が嫌っていうか、正直自分のことよりも左和季君のこと考えてた」
「……」
「確かに怖い思いするかもしれないけど、左和季君が守ってくれるでしょ?
それに……左和季君と会えないことの方がずっと怖い……って、わあ!?」
急に視界が変わる。
見えるのは左和季君の綺麗な顔だけ。
数秒後に押し倒されていることに気づいて、震えが高鳴りへと変わる。