【完】狂犬は欲望中毒。






「あれ?もう帰っちゃうの?」


外はまだ土砂降りが続いている。

それに空だって暗くなっていた。


急に帰ろうとする左和季君にビックリして、まるで帰ってほしくない口調で聞いてしまう。




「なんだ?帰ってほしくねーのか。
 それとも俺がいなくなると寂しいってか」


「……傘貸してあげる」


「俺の嫁は優しいな」


「あの……そのノリいつまで続くんですかね」




ケラケラ笑う左和季君にバイトしてるコンビニで買ったビニール傘を渡す。



「今日のところはお利口な小羽に免じて何もしないで帰ってやるよ。
 飯と手当てそれに風呂に傘まで悪い、ありがとな」


「どういたしまして」


「まあもっと尽くしてくれてもいいけど。
 お礼はたっぷり弾んでやるよ」


「左和季君のお礼はちょっと怖そうだから遠慮しとこうかな」


「しおらしい奴、嫌いじゃない」


「……」



「そんじゃあな」









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