【完】狂犬は欲望中毒。
一瞬だけ黙った左和季君が、ボソッと「小羽に余計なこと言うなよな」と呟く。
バッチリ聞こえるその声は、隠す気なんかなかったみたいでちょっとだけホッとしちゃう。
「左和季君に何かあったらって思うと怖いから、次からは小さな事でも教えてね」
「あぁ、ごめん。
つか、それでお前不安になってたの?」
「あ……、それとは別なんだけど」
「ん?」
「その時有栖川さんが左和季君のこと助けたって聞いて……私ヤキモチ妬いちゃった」
「……っ」
「もちろん左和季君が無事なのが一番なんだけど!
……私だって左和季君が危ない目に遭ってたら一番に助けたいって言うか……。そりゃあ左和季君や有栖川さん達と違って非力なの分かってるけど……」
どうしても、有栖川さんじゃなくて私がって思っちゃう。
こんなにも不安になるのは、左和季君と有栖川さんが同じ世界で生きていて。
私とは違う、有栖川さんには左和季君のこと理解できる部分があるからなんだろうなぁ。
私、バイクの良さとか、暴走族とか、よく分かんないし。
でも、左和季君のことだけは一番分かっていたい。
いつだって側にいたいもん。