【完】狂犬は欲望中毒。
左和季君がジッと私を見つめる。
何も言ってくれない、それなのに目だけは逸らそうとしない。
気持ちを素直に伝えただけなのに。
妙な空気に気持ちが昂る。
「小羽……先に謝っとく。悪い」
「ーーへっ?」
急に掴まれた手首。
突然、左和季君が私を引っ張って保健室のベッドに押し倒す。
真っ白なシーツの中でふたり、距離の近さに思わず声が裏返る。
「さわ……!?」
「静かに。ちょっと黙ってろ」
「んっ」
左和季君に口を押さえられた次の瞬間。
ーーガラッと、保健室の引き戸が開く音が聞こえた。
……誰か保健室に来たのかな?
左和季君がシーツから顔を出すと同時に、カーテンを開く音が聞こえる。