【完】狂犬は欲望中毒。
上半身だけ起こした私の体を、またベッドに沈める左和季君が覆い被さる。
「お前、さっきのアレなんだよ」
「さっきの……って?」
「さっきのはさっきのだろ。
嫉妬だなんだの、可愛いこと言いやがって。
先生来なかったら手だしてたかもな。
……こんな風に」
「……っ、い!?」
カプッと、私の首筋を軽く甘噛みする左和季君。
肌に触れる左和季君の唇の柔らかさに、顔が熱くなる。
「な、なにするの左和季君」
「有栖川とか、族狩りとか、どーでもいい」
「……っ」
「そんなこと気にする暇があるなら、俺のことだけ考えてろ。
つーか不安になる度つけてやろうか?」
「なにを……?」
「分かってるくせに……」
そう言って分からせるように、左和季君は甘噛みした場所にこんどは唇だけを押し付ける。
頭が回んない。
ボーッとしてきた。
保健室の消毒液の匂いのせい?
ううん、違う。
どう考えたって、目の前にいる左和季君のせいだ。
「不安なんてぜんぶ、俺が消してやる」