【完】狂犬は欲望中毒。
寝落ちしそうな満月の夜に美喜矢から連絡があり、蛇狼のコンテナへとバイクを走らせた。
冬に変わりそうな秋の風が首元を撫でる。
数十分で着いたコンテナに入ると、ソファに座っていた美喜矢が俺を見て立ち上がる。
「遅い。僕眠りそうだったんだけど」
「こっちは風呂上がりだってーの。
お前のせいで湯冷めして風邪引きそうだわ。
で?話ってなに」
「族狩りの件なんだけど。
僕たちを襲った奴らの正体が分かった」
「……誰だ」
さっさとこの件を終わらせたくて、美喜矢相手に攻撃的な声になる。
俺のせいで不安がる小羽を見るのは、いい加減うんざりだ。