【完】狂犬は欲望中毒。
「よし……やっと帰れる」
校舎から少し離れた場所にあるごみ捨て場に袋を置く。
汚れたように感じる手を払って一息つくと。
「おい、お前」
「……っ」
いつの間にかひとりの男が私の後ろに立っていた。
「お前、左和季の女だな?」
「……誰ですか」
「誰だっていいだろ?そんなの。
ついてこい」
「やっ……!」
いきなり手首を掴まれ、抵抗しようとするけど。
「こんなところで騒いでいいのか?
もし騒ぎが先生たちにバレでもしてみろ……俺ら瞑静と関わりがある左和季にまで迷惑かかっちゃうぞ」
「……っ」
瞑静……。
この人、今確かにそう言ったよね?
「……なんで瞑静の人がこんなところに。
部外者は立ち入り禁止ですよ」
「学校内なんて入ろうと思えばいくらでも侵入できんだろ。
こっちは人目につかないところでお前がひとりになるのをずっと見張ってたんだぜ?
てか口動かしてないでさっさと足動かせ」
「……」