【完】狂犬は欲望中毒。







外には何台ものバイクが停めてある。
これじゃあますます逃げられない気がして、息を呑むと。



「建物の中に入れ」




生い茂る草木の少し先には、何十年も放置されている様に見える古びた倉庫が建っている。



男に背中を押され、倉庫内に入ると。



「連れてきたぞー」と、誰かに知らせる様に、男が広い倉庫内に声を響かせる。



すると。



「遅かったじゃない」



階段からおりてくる足音はひとりじゃないのに、聞こえてくる女の人の声には聞き覚えがあって心臓が鳴る。




「……有栖川さん」



「久しぶりね~乙川さん、コンビニ以来かしら?」





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