【完】狂犬は欲望中毒。
そんな人と有栖川さんがなんで一緒にいるの。
親しげに話すふたりを見たくなくて俯くと、有栖川さんの隣に立っている女の子ふたりがクスクスと笑いだす。
「ねぇ、この子本当に五月女の女なの?」
「さっきからビクビクしちゃってバカみたい」
普通こんな状況で、平然としてる方がおかしいよ。
言いたいけど言えない雰囲気に、キュッと口を結んで有栖川さん達を見ると。
有栖川さんが眉を吊り上げ、急に私の胸ぐらを掴んできた。
「……っ」
「今君、私のこと睨んだでしょ?喧嘩売ってんの」
「ちがっ、」
「むかつく。五月女君が後ろ楯してくれてるからって調子乗ってんじゃないわよ」
「……」
「なんで私が……っ、あんたみたいな弱くてダサい女に負けたのか意味分かんない。
誰がどう見ても私の方が綺麗なのに」