【完】狂犬は欲望中毒。
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「……はね」
「……」
「小羽」
「……っ」
「小羽起きろ」
「……っ!?」
ゆさゆさと左和季君に肩を揺さぶられて起きる。
寝惚けているせいか、一瞬だけまだ雪紅の倉庫にいるんじゃないかって不安になって、目が一瞬で見開いたけど。
……よかった、隣に左和季君がいる。
それに私無事だったんだ。
「マンション着いたぞ」
「……左和季くん」
「どうした?」
弱々しく左和季君の名前を呼んでしまったせいで、心配そうに私の顔を覗いてくる彼。
そんな左和季君の袖を軽く引っ張った。
「……部屋、寄っていかない?」
「……」
「あの、まだひとりじゃ怖くて」