【完】狂犬は欲望中毒。
ギュッと抱き締めて離れそうにない左和季君が、私の頬を撫でる。
「本当にどこも怪我してないだろうな?」
「してないよ?左和季君は心配症だね」
「お前に何かある度不安だ。怪我なんかするな。
なんだったらどこか行く度俺が運んでやってもいいけど」
「無茶苦茶だよ左和季君……」
今日の左和季君はなんだか可愛い。
私を甘やかそうって一生懸命なのかな。
それも全部罪悪感から来てることなんだろうけど。
左和季君はそんなことしなくていいのに。
悪いのは、有栖川さんや瞑静のせいだよ。
左和季君の不安を取り除きたくて、手を握ろうとした。
触れようとしたその手が、かすり傷を負っていたことに気がついて、傷に触れないように触る。
「さ、左和季君怪我してるよ!?」
「あ?……あぁ、へぇー……」
「なんでそんなどうでもよさそうなの!?」
「たかがかすり傷だろ」
「これ絶対私を受け止めた時に出来た傷でしょ!?
手当てしなきゃ……」
「いらない、そんなことより小羽を堪能したい」